色褪せ防止の強い味方!超耐光インキ

こんにちは!Blog担当者です。
皆さんはお部屋に飾っていた推しのカードが色褪せてしまったり、
街中でお店のドアに貼られた宣伝ポスターが日焼けしている所を見たことはありませんか?
印刷物は日の当たる場所で使われていると徐々に色褪せて行き、印刷業界ではこの色褪せを「退色(たいしょく)」と呼びます。
最初はわずかな変化、でもふと気付いたときには印刷物が青白くなっていた…なんてこともよくあるお話。
せっかくの推しや宣伝ポスターが色褪せてしまっていると、少し残念な気持ちになりますよね。
しかし、そんな困った印刷物の色褪せを軽減できる方法があるのです!

今回は印刷物の色褪せ防止の強い味方「超耐光インキ」とその性能を実際の実験風景をまじえてご紹介いたします!

なぜ印刷物は色褪せする?

超耐光インキの説明の前に、そもそもなぜ印刷物が色褪せしてしまうか、その仕組みを解説していきたいと思います。

日の当たる場所で使用された印刷物の色褪せの原因はズバリ「紫外線」。

紫外線は電磁波の中でも波長が短いため影響力が強く、人の肌を焼けさせることでも有名ですが、印刷物に使われているインキや紙もその力で変質させてしまいます。

(蛍光灯の光でも印刷物は変色します)

特にイエロー・マゼンタ(紅)の色はインキの顔料の結合が弱いため変質(退色)しやすく、結合の弱いイエロー→マゼンタ(紅)→シアン(藍)→ブラックの順に退色していき、印刷物が色褪せていきます。

超耐光インキとは

超耐光インキはその名の通り紫外線への耐性を持ったインキです。

主に退色しやすいイエローとマゼンタのインキが製造されており、

インキに使用される顔料を紫外線に強いものへ置き換えることによって耐光性を実現しています。

超耐光インキは自動販売機の広告や選挙ポスター等で使用されることが多いです。

また、超耐光インキより耐久性の低い「耐光インキ」というものもあります。

メーカーによる超耐光インキ・耐光インキの耐久時間は

★超耐光インキ…200時間

★耐光インキ…100時間

となっております。

超耐光インキの実験

東京オフ印刷では超耐光インキと通常インキで同じ版下を印刷した刷本を用意し、それを1ヶ月間日当たりの良い窓に貼ってどれほど変化するかの観察実験を自社工場で行いました。

写真左が通常インキ、右が超耐光インキの印刷物です。こちらは印刷したばかりの刷本を写真撮影したもので、この段階では同じ印刷物のように見えます。

●実験1日目

弊社工場・亀戸紙工センターの日当たりの良い窓に刷本を貼り付け、実験開始!

●実験2日目

1日窓に貼り付けられた刷本を一旦窓から剥がし、撮影してみました。

まだどちらの刷本にも色の変化は見られません。

●実験9日目

前回の撮影から1週間経ちました。

通常インキのマゼンタの色バーが少し色褪せてきています。

●実験16日目

約半月後の刷本の様子。

通常インキのイエローの色バーがかなり薄くなってきています。

超耐光インキのイエローはまだ鮮やかですね。

●実験23日目

約3週間後の刷本の様子。

通常インキの左上の女性の肌も写真で分かるほど退色し、薄紫色になってきました。

右下の女性の黄色いブラウスも白っぽくなっています。

超耐光インキの刷本には未だ大きな変化がありません!

●実験30日目(最終日)

実験最終日の刷本の様子。

1ヶ月同じ状況下に置かれた通常インキ・超耐光インキの刷本はここまで差がつきました!

通常インキで刷られた刷本は全体的にイエロー・マゼンタの色が褪せ、顔料の結合が強いシアン・ブラックが残って青白くなりました。

一方、超耐光インキはイエロー・マゼンタ共に1ヶ月紫外線に晒された後も強い色味を保っています!

こちらは通常インキ・超耐光インキそれぞれの元の刷本と並べた様子です。

これだけ見ても差は歴然ですね!超耐光インキで刷られた刷本は元の印刷物とほとんど見分けがつきません。

実験結果

実験の末、6月〜7月の強い紫外線を1ヶ月間浴びた刷本は

通常インキは目に見えて退色

超耐光は元の印刷物とほぼ遜色なし

という結果となりました。

もちろん冬など紫外線の少ない時期や雨天が続いた場合は退色スピードが遅くなりますが、いつも何気なく貼っている印刷物も紫外線対策をしていなければたった1ヶ月で確実に変化していくことが改めて分かりました。

超耐光インキのデメリット

実験の結果すばらしい力を発揮してくれた超耐光インキ。

ここまで見ると「全ての印刷物を超耐光インキで印刷すればいいのでは?」と思われる方もいらっしゃると思います。

しかし万能に見える超耐光インキは、あくまで通常のインキより退色しにくい(退色が遅い)というもので、全く退色しないわけではありません

超耐光インキは紫外線には強いものの、印刷時の濃度が出にくいというデメリットがあります。

超耐光インキで濃い色を出したい時にはインキを多く盛る必要があり、印刷が難しくなるため安定性などに問題が出る可能性があります。

これまで通常インキで印刷していたものを超耐光インキに切り替えると、これまでの印刷物と発色が異なってしまうこともあります。

また、超耐光インキは通常インキに比べて価格が高く、ご予算を上回ってしまう場合もあります。

★屋外で長期間使用される印刷物には超耐光インキ、短期での使用や屋内のみで使用する印刷物は通常インキを使用する。

★通常インキの印刷物に退色防止効果のあるPET貼りの表面加工を施す。

など、用途に合わせて通常インキと超耐光インキを使い分けることをおすすめいたします。

まとめ

それでは本日のBlog記事のまとめです。

 

★印刷物は紫外線を浴び続けると、イエロー・マゼンタが主に色褪せてしまう。

★紫外線による印刷物の退色は、紫外線に強い顔料で作られた「超耐光インキ」を使用すると軽減できる。

★夏の1ヶ月間、印刷物を強い紫外線下に置いた結果、通常インキの刷本は目に見えて退色し、超耐光インキの刷本は元の印刷物とほとんど遜色がなかった。

★超耐光インキは濃度が出にくい・値段が高いなどのデメリットもあるため、通常インキと用途に合わせて使い分けるのがおすすめ。

 

いかがでしたか?

今回は印刷物の色褪せに強い「超耐光インキ」についてのお話でした。

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